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Vol.14「革ジャン、ロンジャン、ルイスじゃん!タフジャケ的ルイスレザーズ考察」

ルイス再び

いや〜、今年の夏は暑かったですね。冷夏をもたらすっちゅうエルニーニョなんて助っ人外人をあてにしてた拙者は見事に裏切られたわけですが、酷暑の夏も真珠婦人も終わってしまえばなんだかさびし・・・なんて言ってられねーよ、そろそろタフジャケの季節じゃねーかっ!
てな訳で、あわてて月刊タフジャケに取り掛かってる拙者なんですが・・・

拙者がGORILLAの店番をするようになって3ヶ月ほどが経つんですが、意外と問い合わせが多いのがルイスレザーズのライダースジャケット(以下ライジャケ)。今でこそショップに幾つかのルイスがならんでおりますが、実は拙者は今年に入るまでルイスレザーズについてはその詳細を知らなかったんですね、いやお恥ずかしい。

拙者にとって長い間ライジャケといやアメリカ、ああバタ臭くて大嫌いだけど大好きな国アメリカが本場だぜっ!だったんですね。それが、ちょっとしたきっかけからルイスレザーズに触れて以降、拙者のライジャケに対する前述の認識はグワ〜ンと変わっちゃったんですね。
えっ、どう変わったかですって?

そりゃ勿論、「革ジャン、ロンジャン、カッコイイじゃん!」ですがな。

で、今回のタフジャケではひとつのモデルにフォーカスするんではなくて、ルイスレザーズの代表的なモデルについてざっくりご紹介したいと思います。

ルイスの魅力?

ルイスレザーズの歴史云々につきましては、月刊タフジャケのvol,12、または当サイトのブランド・モデル解説をご参考いただくことにしまして・・・

しょっぱならから結論!?
UK、ロッカーズ、パンク等に興味はあっても特別な思い入れのない拙者にとってルイスレザーズの魅力はまさしくそのデザインにあります。スタイルとカラーの多様性とでも申しましょうか。勿論本場アメリカのライジャケはごっつカッコエエんですよ。拙者も大好きだし。本格的と言われるようなもの、例えばショットにはじまり、大御所バンソン、究極と言われるラングリッツにしてもクオリティは抜群だしカッコよろし。

ただねー敢えて言わせていただきますと画一的なんですよね。本格的になればなるほどね。 シングルorダブル、シングルなら襟があるかないか、ダブルならDポケットかそうでないか、色は黒・・・まぁ、こんなとこでしょう、アメリカのライジャケは。

これがルイスレザーズになりますと、各モデル、カラーで見事に個性化してるんですね。百聞は一見にと申しますので、早速代表的なモデル紹介と参りましょう。
さすがに全てを紹介する訳にゃー参りませんが、いってみよーっ!

ルイスと言えば..Bronx と Lightning

60年代から70年代を通じて、ルイスの代表的モデルと言われるのがこの二つ、”Bronx”(ブロンクス)と、”Lightning”(ライトニング)です。

Bronxは、50年代にアメリカから招かれた”Bud Ganz”(バッド・ギャンズ)ちゅうオッサン、いやデザイナーがデザインしたライジャケだそうで、肩のエポレットやベルト、ポケットなどのデザインは当時のアメリカライジャケの臭いがプンプンしております・・・。それでもアメリカのDポケットがこうなっちゃうんですから、オッサンなかなかセンスよろしな。

ルイスレザーズの代表的モデル“Bronx”
非常に珍しい「Bud Ganz Design」タグを持つBronx。非常に古いもので、後のLewisの隆盛の原点ともいえる。 社名がD.Lewis.LTDだった時代のBronx。レアな1着だ。 Bronxのバリエーションモデル。フロントがダブルジッパーになっている迫力あるモデルだ。

Bronxのタグバリエーション
星条旗がデザインされている。 D.Lewis.LTD時代のBronxのタグ。最下部にD.LEWISの文字が見える。 Bronxのバリエーションモデルのタグ。こちらは一般的に見られるAVIAKITマークだ。

さて、写真で紹介したもののほかにも拙者はBronxで更に異なった2つのタグを確認しておりますので、Bronxだけで5タイプのタグバリエーションがあることになります。このあたり、さすがにルイス発展の礎となった代表的モデルの歴史故でしょう。
ルイスの中じゃ最もアメリカンなライジャケのBronxですが、ブルーやレッドのカラーモデルも存在していました。う〜ん、やるなぁ〜ルイス。

お次はLightning。
同じダブルのライジャケでありながら、ポケットとベルトをいじるだけでこうも印象が変わるのかと思わせるのがLightningです。こりゃもうアメリカンダブルとは全くの別物。

ルイスレザーズの代表的モデル“Lightning”
 
ルイスだけでなくUKライダース(ロンジャン)の代表的スタイルのベースとなったのが、このLightning。   非常にレアな初期のイエローLightning。ここまでやっちゃうのがルイスレザーズの真骨頂だ。

ジッパーを上げ切ったLightning。
まさにロッカーズ。
そうそう、ルイスのライジャケ、ひいてはルイスのライバルを含むUKライジャケ全般に言えることですが、フロントジッパーを上げ切ったスタイルがやたらカッコいいんですよね。

さて、このLightningの優れたデザインはその後のルイスは勿論、UKレザーライジャケ全般に多くの影響を与えました。

Bronx、Lightningと並ぶルイスの名品”Monza(モンザ)”はLightningの改良バージョンである”Star Lightning”(スターライトニング)がデザインベースとなっています。
他にもルイスの”Thunderbolt”(サンダーボルト)はLightningの、”Cyclone”(サイクロン)はStar Lightningの変形バージョンであると言われています。

こいつも外せないっ...Monza

ルイスのライジャケでもうひとつ外すことができないのが”Monza”(モンザ)です。

前述した通り、Star Lightningの発展形ともいえるMonzaは襟なしのダブルタイプで、肩・肘にパッドが付けられたまさにバイカー向けの本格的な一着です。

Monzaにもポケットの配置でいくつかのバリエーションがあるようですが、代表的なモデルは”G.T.Monza”でしょう。
襟無しのそのスタイルは、ジッパーを上げ切ればシングル風に、下ろせばダブルにと、独特の雰囲気をもってます。

パッド付きのライジャケは、そのゴッツさや迫力だけが前面に出がちですが、パッド付きでありながら、このMonzaの洗練されたデザインにははっきり言って脱帽です。

う〜ん、やるなぁ〜ルイス。

 
ルイス独自のデザインを持ちながらバイクライディングにおける機能性も追及したG.T.Monza   Monzaのバリエーションモデル?

ルイスのライバル!?

ここでルイスのライバルをちと見てみましょう。
ルイスのライバル数あれど、その代表はやっぱり“Highwayman”(ハイウェイマン)でしょう。Highwaymanのライジャケを見ると、いかにルイスの影響が強かったのかがよく分かります。

 
ルイスのライバルHighwayman(ハイウェイマン)の2着。 ルイスのLightningにそっくりなモデルだ。他にもBronxやMonzaにそっくりのものもある。

残念ながらこのHighwaymanは70年代に消滅しています。このあたりルイスの実情も似たようなもので、創業者の息子グッドフレイ・ルイスがルイスレザーズを売却してしまったのもこの時期です。理由は、ロッカーズムーブメントの終焉と不況の到来と言われていますが..

頑張れ、新生ルイス!

今回紹介したルイスは全て1950年代から60年代を経て、70年代までのブツです。70年代までのルイスは実に様々なライジャケを作ってます。拙者のもとに現物がなく今回紹介出来なかったものの中にも個性的なモデルが多々あるんですね。
例えば、前述のStar LightningやThunderbolt、Cycloneといったダブルのライジャケの他、シングルタイプのDominatorやCorsairなどです。こいつらも拙者のもとに届き次第、おいおい紹介していきたいと思います。

さてさて、そろそろ締めくくり。
当サイトのブランド・モデル解説にある通り、80年代以降のルイスは度重なる身売りで、創業当初から70年代に至るまで維持されたクラフトマンシップと、若者たちの絶大な支持のもとロッカーズ文化創生のエッセンスともなった優れたセンスを完全に失ってしまいました。
実際80年代半ば以降は商標(ブランド)だけが生き残り、ルイスレザーズそのものは消滅状態だったんですね。
ですから、拙者にとってルイスレザーズとは1970年代までのものを指しており、正直それ以降のルイスは別物と思ってます。

90年代以降、ルイスレザーズは再生し現在に至っていますが、新生ルイスが本気でライジャケ作りに取り組み、過去のルイスを超える存在になるよう、拙者もエールを送りたいと思います。
ただ、ホントに本気でやらんとダメよ、新生ルイスさんっ!

※画像はすべて、フライトジャケット&ライダースジャケットプロショップ “GORILLA”で販売している商品を撮影したものです。
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